Essay

北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや気づきを綴るエッセイです。(美育学園さまとリトル・ママさまで連載させていただいています)

担当:企画・構成・執筆・編集・写真

第24回 コラム

北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや気づきを綴るコラム。第24回は「コロナ騒動で感じた日本と海外の違い」の話です。 ======================================= 世界中がその動向に注目しているコロナウイルス。ここカナダでも連日さまざまな形で報道されている。私がいまこの記事を書いているのは3月中旬なので、掲載されるころには状況も変わっているかもしれない。とはいえ今回の騒動で、日本と海外の違いを感じたので、とても主観的ではあるけれど、思いを綴ってみたい。 日本では、3月からの休校を政府が急遽発表して子どものいる家庭は大混乱になっていた。子を持つ親にとって、この発令はかなりしんどかっただろうと思う。だって学校が休みになっても、親には仕事があるのだ。その間子どもたちはどうするのか?そもそも親が通勤や会社内で感染したら元も子もないのではないか…など腑に落ちない点がたくさんあった。 このニュースを見て考えたのは、カナダで同じような事態が起きたらどうなるか?ということだった。もしカナダだったら…きっと多くの企業は、すぐに会社側も自宅勤務や時短などに対応するのではないかと想像した。そう思ったのには2つの理由がある。 まずカナダでは、13歳辺りまで子どもが1人で自宅で過ごしたり、外出することが禁止されている。そのため子どもは大人ナシで「お留守番」をすることができない。 もう一つ、カナダでは冬時期の大雪やフリージングレインといった、通勤が難しくなったり道路が凍って危険な日には、学校や幼稚園が急遽休みになることがある。少なくとも毎年数回はそういう経験をしているのだが、その際に親たちはいとも簡単に仕事のスケジュールを変更し、対応している。 悪天候で教育機関が休みになるときは、前日の夜のタイミングで親へ通知が届く。学校のSNSやニュース、メールなどで「明日の天候により、○○地域は全面休校になります」という連絡が入るのだ。そして親たちは共働きであろうが、シングル親であろうが、すぐに対応できる環境が整っている。つまり、会社側が臨機応変に対応しているということなのだ。 このフレキシブルさには、とても驚いた。日本では震災時でさえ、会社を休むことが困難で、ギリギリの状態で人々は働いていたのに、こちらではあっさりと事な

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第23回 コラム

北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや気づきを綴るコラム。 第23回は「アイデンティティー」の話です。 ======================================================= 長い長い冬のちょうど真ん中あたりになる今の季節。子どもは毎日ウキウキしながら園に通って、マイナス7度くらいの寒さであれば、外で元気に遊んでいる。 子どもが園に通いだして数年が過ぎた。通いはじめの頃は「うまく園に馴染めるのか」「日本語とフランス語の区別もつかないのに、しっかりと自己主張していけるのか」など色々なことを心配していた。 カナダは移民の多い国なので、さまざまな人種と文化背景があり、両親が同じ国同士ではない人がたくさんいる。そのためミックス(*)であることが特別視されることはほとんどない。外で子どもと日本語の歌をうたっていると「その言葉きれいな音だね!」と声をかけられたりもする。 子どもが日本語とフランス語や英語の違いをなんとなく意識してきた頃から、「君はカナダ人であり、日本人でもあるんだよ」と伝えてきた。日本とカナダは毎年行き来しているし、話す言葉も全く違うから、子どもなりに自分が2つの国の人であることは、なんとなく理解している様子。日本出発前には地球儀をみせて説明したりもしている。けれど、もう少し大きくなったら「自分ってほんとうは何人なのだろう?」と感じるようになるかもしれない。 カナダに住むようになって、個人のアイデンティティーについてよく考えるようになった。私は日本人で、日本で育った。でも海外生活が10年を超えてくると、感覚や価値観が日本の家族や友人とはすこし違うかも…と感じることがでてきた。そして、その逆も然り。カナダにいるときは、日本人である自分の価値観や考えが、とても日本人っぽい、どんなに長く住んでもカナダ人にはなれない、と感じることも多くある。なんともいえない不思議な感覚。 今後さらに長くカナダに住むことで、私のアイデンティティーはどうなっていくのだろうか。まったく想像がつかない。今時点でわかっていることは、異なるアイデンティティーを持つ場所や人と時間をともにすることは、歳を重ねれば重ねるほど、面倒でストレスに繋がることがあるのだな、ということ。 将来もしかしたら、わが子も私と同じよ

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第22回 コラム

北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや気づきを綴るコラム。 第22回は「夫婦別姓」です。 ========================================= 最近は日本でも仕事の便宜上などで、「夫婦別姓」を望む人が増えてきているようだが、私が住むカナダ・ケベック州は夫婦別姓が基本となっている。ちなみに、隣のオンタリオ州(トロントなど)は、夫婦別姓も選択可能ではあるが、基本は夫婦同姓といった感じでカナダ全体のシステムというわけではなく、ケベック独自のルールになっている。 結婚後、私の名字は親から受け継いだ名のまま変わらなかったので、手続き上の煩わしさは全くなかった。しかし、名字が変わらないというのはなんだかとっても不思議で…「ほんとうに私は結婚したのだろうか?」と、いつまでも独身気分が抜けないでいた。 それから数年後に子どもを授かり、はたして子どもの名字はどうするべきなのか、夫の名字か、または私の名字か…と調べたところ、名字は決して両親と同じではなくても良いという情報を得て、少々困惑した。つまり極端な話、夫の姓がスミスで、私がササキだった場合に、子はヤマダでも良い、といった具合だという。うーむ…「その場合、親子の顔が似ていなかったらどうやって判断するのだろうか。親子確認ができるIDや書類を毎度持ち歩かなければならないのか…」と、いろいろ謎は膨らんだ。 父親(夫)がカナダ人である以上、私の顔に似ていない(日本人顔ではない)子が産まれてくる可能性はなきにしもあらずで…そうなった場合、私が子と二人っきりで役所や病院を訪れたときに、なんだかとてつもなく面倒なことになりそうな気がして、色々なケースを考えて夫と話し合った。 そして考えすぎた結果、「トウマ スミス・ササキ(仮名)」というやたら長い名字を付けてしまった。自分たちで名付けたくせに、特に英語表記のときは長い綴りで「書くのめんどいな…」という事態が起きている。(我が子も将来、そう思うだろう…そしていつかどちらかの名字が端折られるだろう) また、当たり前ではあるが、ケベック州は夫婦別姓ですよ、という事実は日本の皆さまには全く知られていない。そのため帰国時には、少々居心地が悪い思いをしたこともあるし、親戚にまで籍はいれたの?と聞かれる始末。夫ナシでの帰国時には、

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第21回 コラム

北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや気づきを綴るコラム。 第21回は「子どもはだれ似?」です。 ========================================= やっと産まれた、かわいいかわいい我が子。 家族や夫と「目はママ似だね。鼻はパパかな?おでこはおじいちゃんじゃない?」などと、喜びいっぱいに会話をする人も多いことと思う。子どもの、特に赤ちゃん時の顔は数週間や数カ月でがらりと変わったりもするので、こういう話題は家族や親しい友人の中で、頻繁におこなわれる。しかしこの手の話題は、ヘタをすると不協和音にもなりかねるんだなぁと、海外の子育てで感じたことがある。 私は初めての出産はカナダで経験したので、妊婦中は病院選び〜出産、その後の予防接種や海外での子育てについての情報をまったく知らず、とても不安だった。そのため、同じような環境にいるプレママや先輩ママと知り合いたい!と思い、わりと積極的に外出し、一時周りにたくさんの赤ちゃんがいたものだ。そして、そこで繰り広げられる会話に少し疲れてしまったことがある。 私が知り合った人は7割方日本人だったのだが、そのパートナーは外国人の場合がほとんどだった。だからなのか、子どもが生まれると「ママ似で日本人の血が強いねぇ」「パパにそっくりでミックスにみえない〜」といった会話を頻繁に聞いた。そして、不思議と日本人同士の夫婦から産まれた赤ちゃんのときは、「可愛いね〜」というコメントはあっても、どっち似だね!という言葉はほとんどなかったりした。 この会話にはあるパターンがあって、ママ似といわれた人は「えーそうかなぁ、夫似にしかみえないんだけど〜」となんとなく心外というように返答していた。この話題はもしかしたら若干地雷になるのかもしれない…と密かに思ったものだ。そして、どっち似的な話しになったときには「ママとパパどっちにも似てるね」と言うようにした。それでも、「私には夫似にしかみえないなぁ」と微妙な空気で返事をされることもあり、そうか半々もNGなのか…と困惑したものだ。 さて、私の場合はといえば、やはり「アジアの血が入ってるねぇ」「外人にしかみえない」「半々だねぇ」と、もはや顔の造作ではなく、見た目が日本人か外国人かのコメントを沢山もらったものだが、こんなに可愛い子が私と似て

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第20回 コラム

北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや気づきを綴るコラム。 第20回は「日本の増税が近いが、カナダに比べればぜんぜん無問題!のハナシ」です。 ====================================================== 10月から日本の消費税が8%から10%に引き上がる。これについての話題は、メディアやニュースなんかでもたくさん取り上げられていて、私も日本の増税に関する記事をいくつか書かせていただいた。そのおかげで、日本に住んでいなくともその細かな内容や動向を知ることができたのだが、この増税に関する記事を書くたびに、ちょっとしたモヤりというか、たしかに増税は大変だけどカナダに比べればまだマシだよ‥と思ってしまう自分がいる。 ここカナダは、連邦税と州税の合算を消費税と呼び、住んでいる地域によって税率が異なる。私が住んでいるカナダ・ケベック州は、カナダの中でも税率の高い州になっていて、14.975%。しかも、ほとんどのお店は税別表示のため、買い物をしたときの支払い時にちょっとした驚きがいつも起こる。 合計2万円位かなぁと思って支払いに行くと、2万3千円請求され、「え?なにか余計なもの買ったっけ?」となるのだ。ビンやペットボトル、カンといったリサイクル可能な商品の場合は、それにプラスでリサイクル代を加算される。この税率の高さにはいまだに慣れない。 今回日本では、軽減税率といって8%据え置きの対象品目もいくつかあるが、その中で気になったのが店内飲食10%とテイクアウト8%の差。これを聞いて思い浮かべるのが、北米でおなじみのチップだ。カナダにもチップ制度があり、ウェイター・ウェイトレスにサーヴされる場合には必ずチップを払う。チップ率は、飲食代トータルの15〜20%ほど。チップは、法律で定められているものではないので、ある意味「心付け」なのではあるが、支払わなければならない!という圧があり、水1杯とワンプレートの皿を1回、テーブルに運んでもらっただけでも15%のチップをする。 つまりここケベック州では、外食時に消費税とチップの合計30%を追加で払わないといけなく、2万円の食事をしたら最終支払いは、2万6千円になるのだ。これ、高くありませんか? こんな地域に住んでいるため、日本での2%の違いには、ど

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第19回 コラム

北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや気づきを綴るコラム。 第19回は、「海外ならではの夏休みの過ごし方」です。 ========================================================== 夏だ‼ カナダは夏といっても涼しいでしょう?と聞かれたりもするが、そんなことはなく…30度を超えることも結構ある。ここ最近は、カナダも夏真っ盛りといった陽気でとても暑い。 ここカナダでは、学校にもよるが、教育施設の夏休みは6月中旬〜8月末までと、とても長く、夏休み中の旅行や予定はだいぶ前から検討したりする。ひと夏が終わると「来年の夏はどうしようか?」などといった会話がはじまるくらいで、長ーい夏休みを満喫するために、子どもたちは学校を、大人たちは仕事をまた1年間がんばるのだ。 日本にいた頃は、夏のイベントに参加したり、日帰りで海に行ったりとしていたが、どちらかというと何かの催し物ありきで計画を立て、泊まりといっても1泊〜2泊ほどで出かけることがほとんどだった。それに、あれもこれもと欲張ってたくさんの予定を入れてしまい、結局は疲れた身体を引きずりながら、休み明けの勤務がはじまるということも多かった。 カナダに来てからは夏休みの過ごし方がガラッと変わった。海外の人たちは、たとえ観光であっても、休み中の行動はできるだけのんびりとしたいと考える。どこかにいって予定を入れるとしても1日に1つ、または1箇所で、滞在中の何日かはのんびりする時間を必ず設ける。そのためどこかへ旅行に行く際は、だいたいが3泊〜10泊といった少し長めの旅程になったりする。 この原稿も実はいま山の中で書いている。この場所は街中から車で1時間半ほど走った山の中で、キッチンやランドリー室、生活用品が揃っている別荘と目の前には直径2kmほどの湖が広がっている。その湖の一角には砂浜も作られていて、砂浜で遊んだり、湖で泳いだり、ハイキングをしたりと外でのアクティビティには事欠かない。 朝起きてのんびりと朝ごはんを食べた後は、天気が良ければ砂浜で遊び、大人はその様子を眺めながらのんびりするか、本を読む。お昼は、気温が高すぎなければ外でピクニックもできるし、食べた後は湖に入って少し涼み、疲れればお昼寝をする。午後は、山の中をハイキングしたり、庭

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第18回 コラム

北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや気づきを綴るコラム。 第18回目は、「海外で心地よい友達を作る」です。 ========================================= ここ一ヶ月でぐっと気温も上がり夏が近づいてきたと感じるカナダ。天気も良いのに最近なんだかやる気がでない。少し気分転換でもしようかと、マイナスイオン溢れる噴水のある公園でこの原稿を書いている。 唐突だが「あなたの人生で大切なもの」はなんだろうか。 人生にとって大切なもの。家族、パートナー、友人、仕事、お金、ペット、思い出に結びつくモノ、なにかのコレクション。人によってさまざまなものが思い浮かぶと思う。 わたしは昔からミニマリストのような傾向があって、数年間に渡って定住したアパートを引っ越すときも、荷物はスーツケース2個にすべて収まったという経験がある。そんな感じだから、人生で大切なものリストを挙げるとすれば、家族、パートナー、友人、仕事という感じになってくる。 そして、その中でとくに重要だなと思うものに「友人」がある。 日本にいればそこまで重要と意識しなかったのかもしれない。家族はもちろん、昔から繋がりのある友人や仕事仲間が、半日もあれば会える距離にいて、すでにそこにあるものとして存在している。しかし海外移住をしたことによって、身近で気軽に話せる人が夫、子ども以外ほぼゼロになってしまった。 そのため家族以外で話しのできる人=友人は、わたしにとって必要不可欠。移住してからの数年間は精力的に、現在もゆるやかに気の合う友達を探している。 これまでも「心地よくいれる気の合う友達」になりそうな素敵な人たちとの出会いは、そこそこあった。しかし、日本ほど定住ということにこだわらないお国柄だからか、さらに好きな土地を求めての引っ越しや転職、自国への帰国などで、日本人・外国人共に、けっこうな数の友人を見送った。そんな背景や私自身が出不精なこともあって、現在はほんの少しの友人がいるのみである。 そんな中、日本人や日本語を話す人を、カナダ人の友達が知り合いを通じて紹介してくれることがある。ありがたいことだ。もちろん、共通の話題や価値観、興味をもつ人と友達になれるのであれば、これほど嬉しいことはない。初めの頃はいそいそと出かけていた。しかし不思議なこと

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第17回 コラム

北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや気づきを綴るコラム。 第17回目は、「親の老いとともに考えること」です。 ========================================= カナダにもやっと春がやってきた!とうきうき気分のこの頃。長ーーーい冬もやっと終わったようで、心なしか肩凝りも和らいだ気がする。 前回のコラム( こちら )では、家族への想いや飛行機での子連れ移動、日本語強化のため毎年日本に帰国していることを綴ったが、そうすることで否応なしに感じ、少しだけ感傷的になるものがある。。。両親の老いである。 両親は、私の友人の親世代からすると比較的若めの歳なので体力・精神ともにまだまだ元気だ。しかし、ある時を境に(両親が50代半ばを過ぎた辺りからだろうか)「親も歳をとってきてるんだなぁ」と感じることが多くなった。まぁ、私も年々疲れやすくなったり、一度体調を崩すとずるずると引きずって治りが遅かったりし、確実に衰えを感じてきているので当たり前ではあるが、正直少しさみしい。 親の年齢を考えればまだ先のことかもしれないが、両親の老いを感じて必然的に頭に浮かぶのは「親の老後」である。我が家に長男はおらず、私は長女。妹は長男と結婚した。長男の嫁となった妹は、世のならわしでいけば、夫のご家族の面倒をみることになるだろう。では、私の親はどうなるのか。 今は元気いっぱいなので、親とそういった話がでても、あまり深刻にならずに「二人でどうにもできなくなったら老人ホームにでも入るよ〜」などと軽くあしらわれてはいるが、なんというかちょっとした方向性や諸々の準備を、できれば少しづつ始めたいと長女の私は考えてしまう。 こういうことを考えるようになったのには、カナダでの生活がある。北米では、老後のプランというものを若い頃から始める。一番最初に取り掛かるのは「遺言書」で、結婚後または子どもが生まれたタイミングで、ほとんどの人が個人・夫婦での遺言書を作成する。万が一に備えるためだ。そのため親が突然亡くなった場合でも、子どもたちは生前の親の願いを引き継ぐことができる。 また、親との会話にしても「老後はどうするか?どうしたいか?」ということは比較的ざっくばらんに話すことができるので、日本のように「まだそんな歳じゃないのに、死ぬ話なんてやめ

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第16回 コラム

北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや気づきを綴るコラム。第16回目は、「子どもの外国語習得と短期留学について思うこと」です。 ========================================= カナダへ移住してからの8年間、毎年数ヶ月ほど日本に滞在している。 結婚を機に海外移住するとなったとき、まず初めに今後自分の家族と一緒に過ごせる時間について考えた。日本に一年に一回帰れたとしても、10年で10回。なんだか物寂しい気持ちになったことを今でもはっきりと覚えている。 きっと日本国内でも違う県に住んでいれば、年に1〜2回が一般的なのかもしれない。でも、移住時期が震災後だったこともあって「会いたいと思ってその日に会える距離ではないし、できるだけ家族との時間を作りたい」と思ったのだ。 そんな想いから、結婚後の優先順位に「毎年の日本帰国」が追加された。その後子どもが生まれ、日本帰国のプライオリティ度はますます上がった。「孫を両親に会わせてあげたい」「自分のルーツである日本の文化や日本語を知ることは、将来子どもの強い基盤になるんじゃないか」と考えたからだ。 さて、毎年の子連れ帰国だが想像以上に大変だ。乳幼児期は、持ち運ぶ荷物の多さと赤ちゃんとの長旅路に辟易し、少し大きくなった幼児期の今は、荷物+意見を主張しはじめた子をスケジュールに間に合うように納得させるのに苦戦し、旅後はぐったりを通り越して、死にそう。。。というのが正直な気持ちである。加えて、飛行機代は大人とほぼ同料金。言うは易し、行うは難しを実感している。 まぁ、苦労話はここまでにして(笑) そうまでして行なっている一時帰国は、やっぱりやっていてよかったなと心から思う。両親も喜んでくれているし、私も家族と過ごせる時間は何ものにも変えがたい。子どもも日本行きをいつも心待ちにしている。 毎回特に驚くのは、子どもの日本語の上達ぶり。最初の数日は、あまりスムーズに日本語がでてこないが、1週間を過ぎ始めた頃から、私以外の人とも会話が普通に成立し、2週間をすぎるとこれまでのボキャブラリーを超えた言葉や文章がでてくる。1+1ではなく、倍々で増えていく感覚だ。これは本当にすごい。 そしてふと思った。これって、ある意味「短期語学留学」と同じなのではないかと。我が子が日本語に

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第15回 コラム

北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや気づきを綴るコラム。 第15回目は、「生きやすいかもしれない海外生活」です。 ==================================== 一時帰国をした際にはいつも断捨離や過去の思い出の整理をする。 あるとき学校の通信簿を発見した。学生時分には、成績はまぁまぁ良かったという記憶が残っており(一夜漬けで暗記をしては、その後すぐに忘れるを繰り返した)、その点は概ねあってはいたが、学校での生活態度に関してはかなり良い感じに上書きされていたようで、自分事なのに驚いたりしたものだ。 子どもの頃の私は、打てば響くという反応の良い活発な子であったようだが、その分落ち着きがなかったようで、じっと座ってする作業が苦手。正義感が強く、しっかりと意見を持っているのでリーダー的存在ではあったが、思ったことをそのまま述べるので、周囲との衝突も多かった模様。…まぁ、なんというか少々面倒くさい子どもだったんだなぁと、トホホな気分になった。 学校の通信簿には、私の生活態度をかえりみて、今後どのように指導していくかが先生によるコメントで毎度書かれているのだが、それを読んで感じたことは、やはり日本の教育は平均化を目指しているのだなということ。 当たり前ではあるが、人には長所・短所があり、それらは往々にして対になっている。例えば、落ち着きがないということは「活発な子」という意味でもあるし、逆に落ち着いているということは「消極的な子」で学校生活にあまりやる気を感じられないと、評価される場合もある。 学生時の先生のコメントでは、現状の私の良い点を褒めてはいるのだが、それをさらに伸ばそうという内容よりも、より劣っている点をもう少し伸ばしたいというような言葉が多かったのだ。 一方、海外で園の先生方と我が子の話をしていて感じるのは、子どもの良い点によりフォーカスして意見をくれてるなぁということ。 例えば、我が子は非常に思慮深い。じーっと物事を長い間注意深く観察してから、行動を始める。そのため全ての行動がスローペースで(速いのは運動時間のみ)、じれったいと感じる大人も多いと思う。でも、この慎重さを褒められることはあっても、マイペースすぎなので周りと合わせましょう、といったようなコメントをもらったことはない。 海外で

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第14回 コラム

北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや気づきを綴るコラム。 第14回目は、「子ども優先の日本vs大人優先のカナダ」です。 ==================================== 海外で生活をしていると、日本人の考えとは異なるなぁ…どうしよう?という場面に出会うことはよくある。こと子育てに関しては特にそうだ。北米と日本では文化背景も違うし、異なった価値観や意見、やり方があるのは当然のこと。親であれば、子どもにとってベストだと思う子育てをするのが一番とは思うが、その一本道だけで大丈夫なのだろうかと最近は迷いがでてきている。 私は日本で夫は北米。そして子どもは、そのミックスで将来の生活ベースはたぶんカナダ。 こういう状況の場合、どの価値観をもって子どもに接したら良いのかわからなくなるときがある。夫婦間だけの違いであれば「家族ルール」を作ればよいが、家族外の人々や学校といった教育施設が絡んでくると、誰ルールに沿ったら子どもにとってはベターなのだろうか。 こんなことがあった。 去年、私は半年ちょっと正社員で現地の企業に勤めていた。これまで子どもを預けるのは1日4~6時間くらいだったが、フルタイムの仕事が始まると、最低8時間は預けることになる。私はこれをものすごく気にしていた。子どもが可哀想ではないか、まだ親との時間が大切な時期ではないかと。 今日では、日本でも共働きの親は当たり前になりつつあるし、北米ではそれがデフォルト。 しかし私の根っこには、子ども優先で子育てをしてくれた母の姿があり、仕事はしつつも、子どもと過ごす時間は園に預けるそれよりも長くしたいと思っていた。だから、現地の仕事を試したいという私の願望だけのために、子どもを長時間預けることに抵抗があったのだ。 悩みに悩んで、まずは試しに挑戦して、もし困難になったらまた元の生活に戻ろうと決めた。 しかし、園の先生に今後の送迎時間について話をしたとき、勢い余って「預ける時間、長いかなと思っているんですけど…まだ少し迷ってて」と相談してしまった。 すると、「気にすることないですよ。親が働くのはあたりまえ。いくら小さいといっても3歳になれば親の言ってることは理解できるから、ご飯を食べたり洋服を買ったり、生活にはお金がかかる。そのために仕事をするんだと話せばいい

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第13回 コラム

北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや気づきを綴るコラム。 第13回目は、「海外移住をするということ」です。 ==================================== 大人になってからの海外移住。私が移住をしたのは30歳をすぎてから。 それまでは一人旅などで海外を15ヵ国以上(延べ数だったらその倍はある)、フランス留学とカナダワーキングホリデーを経験していて「あの国にまた行きたい!」と強く思うことはあっても、日本が恋しくなったことはほとんどなかったあの頃。 それにも関わらず、移住したばかりの1年目は気分が落ち込んでとても辛かった。 正気に戻った2年目、あれはホームシックと冬季うつを患っていたんだなと気がついた。カナダの気候は少なくとも、年に5か月間は寒く、日照時間が短い。この環境の変化で、気持ちが落ち込んだり、体調不良になったりする人も多いという。私も知らないうちにその影響を受けていたようで、それからは冬時期のビタミンD摂取は欠かせない。 あれから7年。年を追うごとに日本や家族が恋しくなっている。 海外移住でもっとも骨が折れるのは、新たな土地での新たな制度(老後・子供教育・国の制度や福祉関連)を一から外国語で学び・知識を集めること。外国語環境でいろいろするというのは、やはり母国語とは違ってなかなかに大変だ。ボキャブラリーだって、どんどん追加していかないと足りないなと年々感じる。 そしてもう一つは、人生に欠かせない、友人の存在。大人になってからの気のおけない友人作りは、とても難しいと感じる。なんとなく楽しい時間だけを過ごす、さらっとした友人はいても、幼馴染や昔なじみの「なんか通じる信頼感」のような関係性を築ける人に出会えるというのは、キセキに近いんじゃないかという現実。 友人は日本人に限らなくてもいいのだろうけど、日本での幼かったときの思い出話や面白かったテレビや世の中に起こった出来事なんかは、やっぱり日本人同士でないと「わかるー!」という盛り上がりができないから、夫が外国人である以上、日本人の友達はやっぱり不可欠だと感じる。 この間、海外移住してから出会った友人Aと久しぶりにお酒を愉しんだ。彼女とは路上でなんとなく言葉をかわすようになって知り合ったのだが、いまでは気のおけない友人の一人だ。 そんな彼女

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第12回 コラム

北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の 違いや気づきを綴るコラム。 第12回目は、「海外でのクリスマスと年末の過ごし方」です。 ==================================== クリスマスと年末、皆さんはどう過ごされましたか。 北米の一般的な会社員の冬休みは、だいたいクリスマス直前の週末から1月1日までの10日 間ほどで、正月三が日というものがない。新年1日は大晦日の寝不足を癒やすためだけにあり、とてもあっさりとしているのだ。 私は今年で海外移住8年目になるが、このあっさりとした正月には未だに慣れないでいる。 去年は地元企業で働いていたため2日早々から仕事が始まり、「あー年明けの特番とか、神 社へお参りとか、初売りとか...恋しい!」と非常に残念な気持ちで出勤したものだ。 さて、海外ではクリスマス休暇はどのように過ごすのか。せっかくなので我が家の過ごし方 をご紹介したい。 家族を持つ人々の12月はかなり忙しい。 お店のクリスマス戦略によるセール合戦は11月末のブラックフライデーから始まる。 この 時期から人々は、毎週末狂ったようにプレゼントを買いまくる。子供がいて、親戚が近くに住んでいれば(*カナダでは車で4-7時間が ”近い” 距離)、家族みんなが集まるので、おじいちゃん・おばあちゃんはこの時期だけで十数万円は使っているのではと想像する。 子どもたちは両親それぞれの祖父母から、加えて両親・おじさん・おばさん、子ども同士で のプレゼント交換など、本当にたくさんのプレゼントをもらう。日本の核家族で育った私 は、クリスマスプレゼントといえば両親からのプレゼント(サンタさんから)のみだったの で、そのプレゼントはとても特別に感じたものだが、これだけたくさんのプレゼントをもらうと、一つ一つのプレゼントを大切にできないのでは?と少し心配になる。 クリスマスプレゼントは、こちらの家族からするととても大切な、言わば「お年玉」のようなものだから価格設定もだいぶ高めで、できれば良いものを1点買いして大事に使ってほし いと思うのだが、子どもがまだ幼いため何を選んだら良いものかと毎年頭を悩ますのだ。 クリスマス前の週末に、子どもたちはオーナメントやチョコレートなどを本物のもみの木へ飾り付けする。 そして、大人たちはその下

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第11回 コラム

北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや気づきを綴るコラム。 第11回目は、「出る杭は人気者」です。 ==================================== 突然だが、うちの子は園でなかなかの人気者である。 こんなことを言うと「はいはい、親ばかねぇ~」という声が聞こえてきそうだが、まぁほとんどの親は「うちの子サイコー!」という思いがベースにあるのだから、大目に見てほしい。 我が子は日本とカナダのハーフ(ミックス)であり、見た目も見事に半々だ。 だから子どもが保育園に通うとなったときには、この白人社会(カナダは多国籍民族の国だが、息子の園は9割型白人で当初アジア人はおそらく私一人だった)で息子は大丈夫なのだろうか、見た目の違いやみんなが分からない言葉を話すことで理解してもらえずに、寂しい 思いや疎外感を感じてしまったらどうしようと少し不安だった。 入園後は、慎重派でマイペースに行動したい息子の性格もあってか、クラスの子ともつかず離れずで楽しく過ごしていたようだが、たまに「先生や友達は僕のこときらいなんだ」とつぶやくことがあった。 よくよく聞いてみると、日本語で話した時にだれも返事をしてくれなかったことでそう思っていることが判明したりした。 どのように説明したら息子は理解できるのだろうかと思案したが、「ここでは日本語はママ にしかわからない特別な言葉だということ」「みんなはあなたのことがきらいなんじゃなくて、日本語を聞いたことがないからわからないこと」「園で話すときには、パパやカナダの 家族と話をするときの言葉で話すとみんなが返事をしてくれること」をコンスタントに伝えることにした。 そうやって日々を過ごすにつれ、息子も人によって言語の使い分けができるようになり、私と息子が日本語を話していると、クラスのみんなが注目して耳を澄ますようになっていっ た。何人かの子には「二人は何語でしゃべってるの?」と聞かれ、その後は私達の日本語を耳にすると、「日本語をしゃべってるんだよ」と得意げに自分の親に報告したりしている。 私は幼い頃から周りの人に「変わってるね」とよく言われていた。そのため、その後どんなに突飛な展開の決断や人生を選んでも、周囲の人は妙に納得顔で「あなたらしいね」と言ったものだ。 そんな質だからか、気に入っ

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第10回 コラム

北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の 違いや気づきを綴るコラム。第10回目は、「病院へは極力行かない〜海外の医療事情」です。 ==================================== 最近はカナダもぐっと寒くなり、最高気温はほぼ毎日一桁。先月までと比べると10度以上 は下がっており、 この急激な冷え込みはかなり身体に堪える。大人でさえもそうなのだから、子どもであればなおさらだ。 先週は我が子も咳と鼻水から始まり、しまいには夜中に耳が痛いと泣き出して中耳炎を疑う ようなできごとがあった。 波はあれど10日ほど眠れない日々が続き、つらそうにしていた。そしてもちろんのこと、夜中に看病する私もぐったり。 こうなると睡眠不足から免疫力 が下がり、子どもから病気をもらってしまう。 子どもがいる家庭であればよくある光景「病 のネバーエンディングストーリー」の幕開けである。 子どもが病気になる→母親に移る→子どもが治りかけ→父親に移る→子どもが再発する→母親が治りかけ…という 恐ろしい病ループにはまり、ひどい時は1ヶ月以上続く。この状態は 本当にしんどい。 このループをなんとか回避したく「病気にはなりません!」と誰にともなく一人宣言をし、気合のバリアで日々を 乗り切るという、スピリチュアルな方法をもって挑んだことも何度か ある。夫には毎回苦笑いされるが、 意外に効果はあるのだ。しかし当たり前だが、この精神 論は子どもには通用しない。 日本であれば、風邪を引いた、熱や鼻水、咳が止まらない、痰が絡んで呼吸が苦しそうだといえば、 すぐに小児科の先生に診てもらうことができる。中耳炎に関しては、症状がでたら 翌日には必ず病院へ行くこと。 とも言われている。私もぜひそうしたいのだが、海外ではそ れができない。 そう、カナダではこれらの症状やインフルエンザなどで人々は病院に行かないのだ。そしてそれは子どもでも同じである。 このシステムを知った当初はかなり驚いた。 自分事であればまだ我慢はできるが、子どもに関しては何かあってからでは遅いのにと思う のが親ごころ。 だから、子どもが赤ちゃんの頃は無理をしても病院へ通った。しかし、小児 科の先生は診察はしても、 薬は基本処方してくれない。その病状がウイルス性なのか細菌性 なのかをチェックし、

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第9回 コラム

北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の 違いや気づきを綴るコラム。第9回目は、「運動会もマラソン大会も文化祭もない?国カナ ダ」です。 ==================================== 夏休みも終わって秋到来。ご存知の方もいると思うが、日本と違ってカナダの新学期は9月 から始まる。日本で育った私にとって、秋といえば大好きな文化祭(小学生の頃は演劇や合 唱の発表会もあったなぁ。懐かしい)とドキドキする運動会、そして、大嫌いなマラソン大 会という思い出がとても強く心に残っている。 大人になってからは誰かと競争してスポーツをすることもなくなったけど、家族や友人、今 では子どもとの会話で「小さい頃は足が速かったんだよ〜運動会ではいつも上位だった」と 少し自慢したくなる私の過去。 ある日夫ともそんな会話をした。私と同様、夫もスポーツが得意だったと誇らしげに語りだ したのだ。ほぅ、キミも足が速かったのかね。と負けん気をのぞかせながら、「実際にはど れくらい速かったの?クラスで1番とか?」と聞いてみた。すると、「うーん、わかんな い」と言う。はて?…わかんないとは?じゃあどうして自分の足が速いと分かるのだろう… 夫の返事の意味がわからず不思議な気持ちになった。 そこで、「学校で運動会とかマラソン大会とかあったでしょ?」と聞くと「なにそれ?どう いうの?」とキョトンとした顔で返される。そう、どうやらカナダにはそういった学校イベ ントがない(もしくはあっても珍しい)らしいのだ。驚いた。我が子はまだ小さいから、小 学生以上のお子さんがいるママ友にも聞いてみたが、8〜9割方の人はないと言っていた。 カナダには週末に日本語を学ぶ「日本語文化センター」や「日本語補習校」などがあるが、 日本人の親がいる子どもはそこに通って、運動会などの日本の行事を体験するのだという。 チーム一丸となって優勝を目指した運動会や、ひいひい苦しみながら自分と戦うマラソン大 会。そういったイベントは、今思えば学校で過ごしたとてもエモーショナルな思い出となっ て心に残っている。その経験ができないなんて、なんというか少しもったいない気がした。 ただ、その一方で競争によって優劣をつけられるのだから、子ども心にもそれなりに嫉妬心 や敗北感などを味わったりもす

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第8回 コラム

北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の 違いや気づきを綴るコラム。第8回目は、「マルチリンガルへの道:3歳編」です。 ==================================== 以前「マルチリンガルの頭の中」という記事を ブログ で書いた。これは、とてもたくさんの 人に読まれ、このテーマに興味を持っている人は多いのだろうなと思った。 私も今となっては日・英・仏語と話すので、うっすらマルチリンガルなのだが、生まれなが らにその環境に身を置いている我が子の語学吸収速度には、日々驚くばかりである。最近で は私の知らない単語を話し、時には私の発音を直してくれる。とほほ。 子どもを見ていると自然な語学習得とはこういうものなんだなとしみじみ実感し、子どもの 脳はすごいなぁと感嘆する。20代後半から語学勉強を始めた私とは習得のプロセスが全く 異なる。 現在までの我が子のマルチリンガルへの道はこんな感じだ。 初めて発した言葉は「ママ」。これは日仏共通。そこから、2単語を話すようになったのは 通常の子より少しだけ遅かった記憶がある。 生後半年?2歳までは、その言語でどれくらいの時間を過ごしたかが顕著に現れた。日本に 数ヶ月いればほぼ日本語、カナダにいればほぼフランス語というように。 そして2歳半では、ほぼ日仏のバイリンガルになった。でも、誰にどの言語で話すのか区別 がついてない様で、日本の祖父母にフランス語、カナダの祖父母に日本語という感じで、話 しかけられた方はアワアワしていて面白かった。本人にとってはどちらも一つの「言葉」な のだなと感じた。 3歳になると言語の区別がつき、2言語をうまく切り替えて話すようになった。この頃か ら、英語単語をすこーしずつ話すようになる。英語に触れる機会は、夫婦間と家族間の話し で聞く程度、あとは本かテレビのみで「教える」ということはしていなかった。 そして最近は、英語を文で話すようになってきた。驚いたのは、夫婦の英会話にフランス語 や日本語で返事をするようになったことだ。例えば「これから雨が降りそうだらもう家に帰 ろう」という話をしていたら「雨降らないよ。帰りたくない」と日仏で答えるというよう に。 大人と子どもの言語習得には大きな違いがあって、大人は単語・文法と個々で記憶するが、 子どもは文

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第7回 コラム

北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の 違いや気づきを綴るコラム。第7回目は、もう書かずにはいられない熱中症の話。「熱中症 に関する学校の対応に物申したい」です。 ========================================= 日本の比ではないにしても今年はカナダも猛暑だ。熱中症による被害もすでに出ている。日 本の熱中症についての学校対応を問題視するニュースを最近よく目にするが、これについて 日本の親たちはどのように思っているのだろう。 私は子どもが小学生の歳になったら、夏は日本の小学校へ数ヶ月通わせたいと思っていた。 日本の学校で学べるモラルやルール、協力をしあうという文化は、人ととしてとても大切な ことであるし、それに関して日本はトップレベルだと思っているからだ。しかし、熱中症の 問題に関する報道を見ていると、なんだか不安になってきたのである。 さまざまなニュースやコメントを読んで、疑問を通り越して憤りを感じた内容がある。 ・小学校では、通学中や授業中に生徒が勝手に水分を摂ることはできない ・水分OKのところはお茶か水だけで、熱中症に良いとされているスポーツドリンクはNG ・プールの授業では、見学者はプールサイドで待機か校庭で運動を強いられる ・プールに入る前の日焼け止めはNG ・天気の良い日の休み時間は外で遊ぶことを推進されていて、それが評価にも繋がる これは事実なのだろうか?だとしたら信じられない話である。子どもが健やかに成長できる 場が学校であるはずなのに、なんだかひどい罰ゲームのように感じてしまうのは私だけだろ うか。また、仮にこれらを実行しなかったら、何か学校側に不都合が生じるのだろうか。 あくまでも幼稚園での話だが、カナダでは以下のことが徹底されている。これらのことは小 学校でもそんなに大差ないのではないかと思う。 ・体感温度30度を超えている気温の時は外で遊ばせない ・外遊びに出る際は、その前に必ず日焼け止めを塗る ・トイレもそうだが、喉が乾いて水分を取ることに先生への許可は要らない ・みんなが遊んでいても、気が乗らなければぼーっとしていても寝ていても構わない。まし てやそれがなんらかの評価の対象になるなんてことは一切ない ・親が学校に疑問を抱いたら、それが個人的なことであっても速攻話

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第6回 コラム

北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の 違いや気づきを綴るコラム。第6回目は、「小さな子どもを連れて長時間移動をする際の Tips」についてです。 ==================================== 日本はもうすぐ夏休み。こちらカナダは一足お先に夏休みへ突入した。カナダの夏休みは2 ヶ月半ととても長い。この期間に国内外へ旅行に行ったり、実家へ帰省したりするのはカナ ダ人も同じである。 私は子どもが生後5ヶ月の時から、子連れで長距離移動をしてきた。これまでの旅行回数 は、飛行機が12回、新幹線は10回以上、4時間以上の車移動は8回以上と子どもの年齢がま だ3歳ということを考えると、結構な数だなぁと我ながら驚いたりもする。。。 今回は、小さな子どもを連れて長距離移動をする際の Tips をシェアできればと思う。子ど もの性格はさまざまなので必ず役に立つかどうかは約束できないが、赤ちゃんの頃から自己 主張がはっきりとしていて、頑固な性格のわが子にはてきめんだった。 子連れ旅行に必須の準備や心構えはこんな感じである。 Tips 1:子どもが好きそうな新しいおもちゃを用意する 子どもが気に入るかどうかはある意味賭けなので、そんなに高価ではなく、かさばらないも のを。 Tips 2:前に好きだったおもちゃを10日前に隠す 前に子どもが好きでよく遊んでいて、最近使っていないおもちゃがあれば、それを10日前 には隠しておき当日サプライズで登場させる。 Tips 3:遅くても2週間前から旅行についての話を始める 乗り物の画像や動画を見せ、その中でどう過ごすのかなどを毎日話す。いつ、どこへ、どう やって行くのかを楽しそうに語るのがポイント。旅行日が近づいたら同じ内容を質問方式に 替えると、子どもがどの位理解しているかも知れる。当日は「お話ししたよねぇ。これから ◯◯に乗るよー。どこに行くんだっけ?」と子どもにも旅を主体的に参加させるとGood。 Tips 4:親子の着替えを持っていく 例えば飛行機であれば、気圧の関係で便が促されるようで漏らしやすくなる。実際わが子も 3回ほど、着陸までの間に漏らしてしまいかなり焦った経験がある。万が一のために、最悪 そのまま捨てても良い着替えを親子一着づつ持っていくと安心。 Tips 5

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第5回 コラム

北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の 違いや気づきを綴るコラム。第5回目は、「子どもの寝かしつけと添い寝のあれこれ」につ いてです。 ==================================== 子供が産まれ半年が過ぎたころ、子供の寝かしつけと添い寝について夫と話し合った。夜中 の授乳やおむつ替えに少しリズムがでてきたころで、子どもは一人で寝たほうがよいのかも しれないと考えたからだ。色々とリサーチをして試してみようと思ったのはジーナ式だっ た。 ジーナ式は起床、授乳、お昼寝、就寝の時間をそれぞれの月齢に合わせてスケジュールを組 み、就寝時は赤ちゃんは別室で一人寝。泣いた場合は10分ほど待ってみて、それでも泣き やまない時に様子を見に行くという方法になる。 ネントレは子どもが泣いた時にすぐに抱っこをできないことが、親にとって一番辛いと聞い ていたので、どちらかが辞めたいと思ったら即中止すること。ネントレの挑戦は1回きりに して、中途半端に辞めたり試したりを繰り返さないと二人でルールを決めた。 ネントレ初日。昼間はそこそこ順調に過ごし、就寝前の授乳を終えていざベットへ置いて別 室へ。。。そこから1分と経たずに子どもが泣き始めた。ある程度は覚悟を決めていたの で、ここで私はぐっと我慢をする。1分、2分、3分。。。時間が経つのがとても長く感じら れ、どうしよう。。と心に迷いがではじめる。そんな親心を知っているかのように子どもの 泣き声はさらに大きくなる。4分、5分。。とそこで夫が突然「もう無理だよ」と子供部屋 に駆け込もうとする。私は「もしここで辞めたら次はないよ。また同じ思いをするのは嫌だ からね」と確認をする。夫はそれでもいいと言って、子どもを抱っこした。 こうして私たちはあっけなく第1夜で断念した。わが子はいわゆる ”あまり寝ない子” だった ため、この日から数年間に渡り(特に私は)万年睡眠不足と戦うことになる。 他の家庭はどうなのかなと聞いてみたところ、 日仏の夫婦は子どもが産まれたときから寝室 を別にし、夜の8時になると子どもを部屋に連れて行き一人寝させる。 レバノン人の夫婦は、大きなマットレスでの寝かしつけと家族3人での添い寝を欠かさな い。 カナダ人夫婦は、ママのみが添い寝、または完全に寝室は分けてい

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第4回 コラム

北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや 気づきを綴るコラム。 第4回目は、「ママの出張」についてです。 ==================================== 海外のママたちは幼子を預けて出かけることにあまり躊躇がない。 カナディアンママたちは産後半年〜1年で職場復帰をし、夫婦二人の時間を過ごすため子ど もを預けて夜デートに出かけたりしている。 私はといえば、仕事やデートもしたいけど、幼子を預けてまで自分が楽しむことに少し罪悪 感を感じていたので、気持ち半分はぐっと我慢で、時短で保育園に預けてはいても、他は最 小限だけ身内に頼るというやりかたで育児をしてきた。 私のこのやり方がこちらの義理家族には理解しがたいようで、「夫婦二人の時間やあなたが 楽しむ時間も大切なんだから出かけなさい。」「私たちが面倒を見るのよ、心配いらないで しょ?」と、何度もけしかけられた。それでも煮えきらず、これまでのあいだ1日たりとも 子どもなしで夜を過ごしたことはなかった。 そんな私が、初めて子どもを一晩置いて1泊2日の出張にでた。 カナダ企業との仕事だったため、子どもを理由に断ったり日帰りを希望するわけにもいか ず、これを機に海外生活者らしいワーキングマザー経験をしてみても良いかもしれないとい う軽い気持ちでの決定だった。 子どもには出張に出る2週間前くらいから、「出張に出ること」「夜は1日だけママとは眠 れないこと」「頑張れたらサプライズのプレゼントがあること」をことあるごとに伝えた。 そのおかげもあってか、出発の数日前には「ママが仕事で夜いないこと」「サプライズのプ レゼントをママが買って来ること」を本人から聞かされるまでになっていたので、これで安 心だと思っていたのだ。 出張当日、息子の笑顔と共に駅まで見送られ、颯爽と電車に乗り込んだ私はなんと! 出発と同時に泣いてしまったのだ。 そんな自分に驚いた。そして、なんだか滑稽な気持ちにもなったのだ。 現地に着くまでの2時間ちょっと、久しぶりに本でも読んでゆっくり食事でもしようと目論 んでいたのに、気持ちが落ち着いたのは到着の30分前。それまでは鼻をぐずぐず鳴らしな がら、息子が赤ちゃんだった頃のことを思い出したり、母にメールをして子どもの様子を聞 いたり。。(何をやってい

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第3回 コラム

北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや気づきを綴るコラム。 第3回目は、「タイムアウト!子供の反省の時間」についてです。 ============================= 悪いことをした時に廊下で立たされる生徒のイメージ。皆さんも知っているのだろうか。これはどこで見たのだろう?ドラマかな、映画かな。今ではもうそういう風潮はないのかもしれない。 今回はそんな子供の反省の時間のお話。 子供に自我が芽生えてくると、意思疎通ができる喜びと共に悩まされるのが、魔の2歳児と呼ばれるあの時期だ。 とにかくあの手この手を使って自分を通そうとするし、その巧みなやり取りに上手く丸め込まれそうになるときもある。そう来るか!面白いなぁ。。と思いつつも、心を鬼にして、たまには本気で対決をする。でも、できることなら大声を張り上げて怒るようなことはしたくないなと思ってしまう。 何か良い方法はないものか?と模索していたときに教えてもらったのが「タイムアウト」だ。これは、海外の子育てではポピュラーなやり方で、私は初めてみた時とてもユニークで良い方法だなと感心した。 「タイムアウト」は、スポーツで使われるタイムアウトと同じで、今やっていることを一度ストップして考える時間になる。 例えば、なんども注意をされたのにやめない時や、親とした約束を意図的に守らなかった時。友達同士で喧嘩をした時などに、学校や家庭で取り入れらている。 私の子供が通う保育園でもこのタイムアウトは行われていて、保育園から帰って来た子供との会話で「今日はタイムアウトがあった」「誰々くんがタイムアウトされた〜!」と言っていたりする。 ではこのタイムアウトはどうやってするのか。やり方はとても簡単だ。 まずは、タイムアウトをする場所を固定で一箇所決める。場所を決めるポイントは、親の目の届く場所にすることと、隔離されない場所であること。(リビングの角や廊下の壁沿いなど) タイムアウトをする流れはこんな感じだ。 子供が良からぬことをする。 ↓ 何度か注意するが、全く親の言うことを聞かない。 ↓ タイムアウト! ↓ 指定の場所へ連れていって、ある一定時間座らせて反省させる。 タイムアウト(反省の時間)は、その子供の年齢によって決まっていて、2歳だと2分。4歳だと4分という具合いになる。この

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第2回 コラム

北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや気づきを綴るコラム。 第2回目は、子供ができたあとの友人との贅沢な時間の過ごし方についてです。 ============================= ああ寒い寒い。日本はそろそろ暖かくなる頃だろうか。 こちらの冬はマイナス20度になるほどの極寒だ。この気温に加え、風が強い日には体感温度がマイナス30度になることもある。 しかし、こんなに寒くても人々は元気に冬のアクティビティを楽しむ。 スキー、スノボー、ソリに、自然の力でできた天然スケートリンクでのアイススケート。 私はどちらかというとインドア派だから、こんな日は暖炉の前で本を読んだり映画を観たりしたい。 そんな私が日本では絶対にしなかった冬の楽しみ方をついこの間経験した。週末コテージをレンタルして小旅行に出かけたのだ。 海外では、仲のよい友人たちで田舎のコテージを借りて週末の小旅行に出かけることが多々ある。小さな子どもがいれば尚更、この過ごし方はとても贅沢な時間となる。 子どもと一緒の旅行では、たくさんのアクティビティを一気にこなすことはできないし、疲れたらぐずりだす。お昼寝だって重要だし、夜遅くなる前には帰る準備をしなければならない。 だから、親となった私たちが子どものスケジュールを気にせずにゆっくりと自分たちの時間も楽しむために休みの日にはコテージをレンタルする。そうすれば子どもと自然の遊びも楽しめるし、なによりも子どものスケジュールに合わせつつ親たちも友人と時間を気にせずに過ごすことができる。 この週末は、そんな海外的な冬の楽しみ方をした。 それぞれの仕事が終わった後に、レンタルしたコテージへ集合。ワインと簡単な食事で会話を楽しみながらゆっくりと過ごす。心地の良い音楽とぱちぱちと鳴る暖かい暖炉。 子どもたちが寝た後もそれぞれのペースでサロンへ集まり、会話を楽しむ。夜更かしをした次の日は、子どもたちに合わせて早起きではあるけれど、午前中にしっかりと外遊びをしたその後は、大人も一緒に昼寝をする。 午後3時すぎにそれぞれ起きだして、お茶を飲んだりおやつを食べたり。男性陣は夕食の準備に取りかかる。それに合わせるように、アペリティフが登場する。 夜は、子どもたちの夕食を早めに済ませて”スペシャルな”ポップコーンと映画の時間を過

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第1回 コラム

北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや気づきを綴るコラム。 第1回目は、海外での子ども教育についてです。 ============================= 子どもの教育は、日本と海外でどちらがベターなのだろう。 我が子を保育園に預ける年齢が近づくに連れて何度もこのことを考えて調べた。 そもそも日本での生き方と海外での生き方や良し悪しの基準は違うので、一長一短はある。 しかし、我が子がより伸びやかにマナーもある人として成長できる環境はどちらなのだろうか。 日本教育の良い点は、しっかりとした規律があって、それを全員がまんべんなく行えるように指導があること。 それから、掃除係や給食係といったみんなと協力して学校内での役割を担うこと。 海外教育の良い点は、必要以上の子ども扱いがなく幼い頃から一人の人として大人が躾けること。 そして、それぞれの個性や考え方を第一に考え尊重してくれるということ。 以前、保育士さんとの会話でこんなことがあった。 子どもを保育園に迎えに行くと、クラスの先生がいつものように息子の1日について軽く話をしてくれる。 「今日はみんなでハンドペイントをしたんですよ?。でもトウマくん、手が汚れるのが嫌なのか、 やりたくないってみんなと一緒にやらなくて(苦笑)」 「そうなんですか。。それでトウマはその間何をやってたんですか?」 「窓のところの縁を道路に見立てて、車を走らせて遊んでいました。(笑)車大好きなんですよね。 まだ小さいし自分の好きなことをするのが一番ですから。」 そう言ってにっこりと微笑む保育士さん。 この話しを聞いたとき私が真っ先に思ったことは、”あらら、みんなと一緒に参加しないと駄目じゃん、トウマ。。。” でも保育士さんの言葉で気づいたことは、”そうか海外では常にみんなと同じじゃなくてもいいのか”ということ。 子どもが海外の保育園に通い始めて、学校教育は日本が良いのか海外が良いのか?と悩んでいた私は、 このやりとりがきっかけで海外での教育も悪くないかもしれないと思うようになった。 このような ”個人の興味のあること” や “個人のペースに合わせて園生活を送らせる”という方針は、 何人かの保育士さんとの会話の中で頻繁に感じることができた。 例えば、ランチタイムやお遊戯タイム、トイレトレーニン

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